スキンケア製品を開発する際、処方について考えると、まず思い浮かぶのは有効成分や効果、そして製品の訴求ではないでしょうか。
しかし、製品の使用感を大きく左右する要素の一つに、テクスチャーがあります。
例えば、同じ保湿を目的とした処方でも、使用する季節や環境によって、肌が感じる使用感は大きく変わることがあります。
夏のように気温や湿度が高い時期には、テクスチャーが重すぎると、肌に厚みが残るような感覚や、べたつきを感じやすくなることがあります。
一方、冬のように空気が乾燥する時期には、同じテクスチャーでも、むしろ心地よく、しっとりした使用感として受け入れられる場合があります。
では、季節が変わるたびに、使用する製品も変える必要があるのでしょうか?
必ずしもそうとは限りません。
同じテクスチャーを1年を通して満足してもらうためには?
年間を通して使用できる製品を開発する場合、単純に「軽すぎず、重すぎない」中間的なテクスチャーを作ればよいというわけではありません。
重要なのは、複数の要素をバランスよく設計することです。
- 肌への伸びやすさ
- なじみ方や塗布時の感触
- 使用後のうるおい感
- べたつきや肌表面に残る感触
- 他のスキンケア製品との重ね使いのしやすさ
- 使用量による仕上がりの調整のしやすさ
そして、テクスチャーは単純に「さらさら」「こってり」といった粘度だけで決まるものではありません。
同じような粘度の製品でも、肌への伸び方、なじみ方、塗布後の感触によって、使用者が受ける印象は大きく異なります。
そのため処方開発では、基剤の設計や油剤、保湿剤、増粘・ゲル化成分、皮膜形成剤など、さまざまな要素を調整しながら、製品コンセプトに合った使用感を作り込んでいきます。

同じ製品でも、季節によって使用感が変わる?
ここには、少し興味深いポイントがあります。
製品そのもののテクスチャーは変わらなくても、肌が感じる使用感は変わることがあります。
気温や湿度、肌状態が変化すれば、同じ製品でも「軽く感じる」「重く感じる」「乾燥して感じる」「よりしっとり感じる」など、使用感の印象が変わることがあります。
そのため、年間を通して使用する製品を設計する場合、研究室など一定の環境下だけでテクスチャーを評価するのではなく、実際の使用環境まで考えることが重要になります。
使用される地域の気候、使用する時間帯、スキンケアのステップ数、ターゲットとなるユーザーの肌状態なども、最終的な使用感に影響する要素です。
夏と冬は、テクスチャーの柔軟性が試される季節
夏は、軽やかで快適な使用感が求められやすい季節です。
ただし、「軽い=保湿力を下げる」ということではありません。
一方、冬はよりしっとりとしたうるおい感が求められやすくなりますが、だからといって、単純に処方を重くすればよいわけでもありません。
ここに処方開発の難しさがあります。
「夏には軽やかに、冬にはしっとりと感じられる。それでいて、一つの製品として成立させるにはどうするか?」
単純に「夏向けには軽く、冬向けには重くする」のではなく、環境や使用条件が変わっても、心地よい使用感を維持できるように、処方全体のバランスを考える必要があります。
オールシーズン使える処方は、「中間のテクスチャー」を作ることではない
年間を通して使用できる製品だからといって、「軽すぎず、重すぎない」中間的なテクスチャーにすればよいわけではありません。
重要なのは、さまざまな使用環境に対応できる処方の柔軟性です。
例えば、同じ製品でも、季節や肌状態に応じて使用量を調整したり、他のアイテムとの組み合わせを変えたりすることで、使用感を調整できる場合があります。
つまり、オールシーズン対応とは、すべての季節で同じ使用感を目指すことではありません。
環境や使用条件が変化しても、製品として心地よく使い続けられる余地を処方の中に持たせること。
これも、テクスチャー設計において重要な考え方の一つです。
テクスチャーは、継続して使ってもらうために大切な要素
実際の化粧品開発において、テクスチャーは製品開発の最後に決める付加的な要素ではありません。
どれだけ魅力的な成分を配合していても、べたつきが強い、重く感じる、重ね使いしにくい、使用後の感触がコンセプトと合わない、といった問題があれば、製品全体の使用体験にも影響します。
反対に、処方とテクスチャーのバランスが適切であれば、毎日のスキンケアに取り入れやすく、継続して使いやすい製品につながります。
スキンケアにおいて、処方の機能性はもちろん重要です。
しかし、それと同じくらい、
「その処方が、肌の上でどのように感じられ、どのように使われるのか」
という視点も重要です。
テクスチャーは、処方とユーザー体験をつなぐ要素の一つなのです。
一つの処方を、さまざまな季節へ。
「誰にでもちょうどいい中間的なテクスチャー」を作るのではなく、製品コンセプトや使用環境を考えたうえで、最初から処方全体のバランスを設計する。
それが、年間を通して使いやすい製品を考えるうえでの一つのポイントです。
では、これから化粧品ブランドを立ち上げるなら?
製品開発を始める際、
「保湿美容液を作りたい」
だけではなく、もう一歩具体的に考えてみることが重要です。
誰のための製品なのか?
どのような環境・季節で使われるのか?
肌にどのようなニーズがあるのか?
軽やかなテクスチャーがよいのか、しっとりとした使用感がよいのか?
朝に使うのか、夜に使うのか?
使用後、肌にどのような感触を残したいのか?
こうした条件を整理することで、ブランドのコンセプトにより合った処方やテクスチャーを検討しやすくなります。
そして、製品の差別化は、必ずしも「どれだけ多くの成分を入れるか」だけで決まるものではありません。
ユーザーが毎日使いたいと思えるように、処方と使用感をどう設計するか。
そこにも、製品開発の重要なポイントがあります。
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